5月15日は京都三大祭の一つに数えられる葵祭の日です。
平安装束に身を包んだ総勢約500人、全長約800メートルの行列が都大路を練り歩く姿は、王朝絵巻さながら。当日は一目見ようとする人々で沿道が埋め尽くされます。
さて、そんな有名な葵祭ですが、ふと疑問に思ったことはないですか?
行列のヒロイン・斎王代はどうやって選ばれているだろう。そして、どんな人が行列に参加しているのだろう……と。
今回は、そんな葵祭にまつわるちょっとしたヒミツをご紹介します。
葵祭ってどんなお祭り?
葵祭は賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭で、古くは「賀茂祭」などとも称されていました。
その始まりは、今から約1400年前の欽明天皇の御代(539〜571年)。
風水害に見舞われて作物が実らず、国民が困窮する事態が起こってしまいました。
そこで原因を占ってみたところ、賀茂の大神の祟りであることが判明。
賀茂の大神の崇敬者であった卜部伊吉若日子(うらべのいきわかひこ)を勅使として、4月の吉日に祭礼を行ったところ、風雨がおさまり五穀が実ったそうです。
そして、 弘仁10(819)年には国家的行事となり、一時中断することはありながらも、現代までその伝統は守られてきました。
当日は午前10時30分に京都御所を出発し、丸太町通・河原町通を通って同11時40分に賀茂御祖神社(下鴨神社)に到着。
その後、賀茂別雷神社(上賀茂神社)に向かいます(到着は午後3時30分予定)。
斎王代を務める人はどうやって選ばれているの?
お祭りのヒロインといえば、十二単をまとい、御腰輿(およよ)に乗ったこの方。そう、斎王代です。
「斎王」とは、かつて伊勢神宮や賀茂神社に奉仕した未婚の内親王(天皇の娘)のことで、葵祭が国家行事だった時には、その斎王が葵祭に出御されていました。
現代においては、その斎王の「代理」だから「斎王代」。
民間の未婚女性から選ばれるのですが、慣例として、茶道の三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)から推薦されることが多いのだそうです。
確かに、和装で長時間の正座ができなければいけない上、いろんな準備が必要となるため、良家のご令嬢にしか務まらないのも納得ですね。
2017年の斎王代は、同志社大学2回生の富田紗代さん。お姉さん二人も女人列に参列されるそうですよ。
行列の主役は、実は……
近年は斎王代に注目が集まりがちですが、葵祭の本来の目的は、勅使が賀茂の大神に祝詞を読み上げ、供物をささげること。
そのためお祭りの「主役」は、勅使である「近衛使(このえつかい)」といえます。
行列中最高位の人で、束帯姿に金色の飾太刀をさしておられるのが特徴。
現在も東京から宮内庁の方が勅使として遣わされているんですよ。
行列に参加している人ってどんな人?
近衛使・斎王代以外の行列参列者は、関係者からの推薦に加え、じつはアルバイトでも募集されているんです!
募集対象は、京都大学・同志社大学・立命館大学・京都産業大学を中心とした男子学生たち。
大学を通じて募集され、応募者は当日、説明を受けて本番に臨むのだそうです。
日給は6700円で、昼食のお弁当付き。1年に一度の晴れ舞台で、平安装束を着て歩くという貴重な体験ができるなんて……うらやましいですね。
(画像提供:葵祭行列保存会)