ほろ苦い味わいが魅力の山菜は、春にしか味わえない山里の恵みです。この時季になるとスーパーでもちらほら、見かけますね。でもどうやって調理するかわからなかったり、アク抜きもちょっと手がかかりそう…なんて尻込みする人も多いかもしれません。
そんな春の恵みを自宅で簡単に、しかも美味しい山菜レシピを、美山の料理旅館「きぐすりや」の若主人・神田貴夫さんが教えてくれました!プロが教える、ちょっと贅沢な山菜づくし膳はいかがでしょう。お口の中に広がる春の味を是非お楽しみください!
本日の山菜:左上から時計回りに、筍(タケノコ)、菜の花、こごみ、タラの芽、フキノトウ
こごみの胡麻あえ
先端がくるんとした形が特徴的なこごみは、草ソテツと呼ばれるシダ科の植物です。春先に地面から芽を出すと、一気に4〜5センチメートル伸びてきますが、この頃の柔らかい、まだ葉がこごんだものを使用します。
【材料】(2人分)
こごみ 8本
塩 小さじ1
淡口醤油 大さじ1
だし 大さじ2
みりん 大さじ1
ゴマ 適量
【作り方】
①こごみは巻いてる部分から5〜6cm下の部分を切り落とす。
②ぐらぐら煮立ったお湯(1.5ℓほど)に塩を加え、①のこごみを入れて火が入る程度にゆがき(1〜2分ほど)、水にさらす。湯がくことでアク抜きとなる。
③ボウルに醤油・だし・みりんを合わせ、②のこごみを加えてすり胡麻で和える。
神田メモ:胡麻をする前に一度乾煎りすると、香ばしい胡麻和えとなりますよ。
菜の花のからし和え
早春を告げる野草・菜の花。黄色い花を咲かせるアブラナ科の植物です。食べるのに適しているのは、花が咲く前の栄養が詰まったつぼみの時期。葉や茎がくたっとしているものは50℃ほどのお湯につけるとシャキッとします。
【材料】(2人分)
菜の花 8本
だし 大さじ2
淡口醤油 大さじ1
みりん 大さじ0.5
からし 適量
【作り方】
①菜の花は3〜4cmの長さに切り、葉の緑色が濃く鮮やかになるまで湯がき、氷水に落とす。
②ボウルにだし・醤油・みりん・からしを合わせる。
③①の菜の花が完全に冷めたら、よく水気をしぼり、②のボウルに入れて和える。
神田メモ:辛子は、少し辛めにピリッとアクセントを効かせた方が美味しいですよ。
筍木の芽和え
地面からニョキニョキッと生えた筍(タケノコ)は、春の味覚として日本人に馴染み深い山菜です。採取してから時間が経つとえぐみが増すのでアク抜きが必要。アク抜きが面倒な場合は、水煮されたものを使いましょう。
【筍のアク抜き】
筍の穂先を斜めに切り、鍋に筍とぬか(鍋の表面を覆うくらい)、鷹の爪を適量入れて竹串がスッと刺さるくらいまで(60〜90分目安)湯掻く。そのまま一晩置き、固い皮を剥いてキレイに洗う。
【筍の下味付け】(2人前)
白だし 1ℓ
淡口醤油 大さじ2
砂糖 大さじ1.5
①アク抜きした筍(または水煮の筍)を一口大に切る。
②鍋に白だし・淡口醤油・砂糖を合わせ、①の筍を加えて30分ほど煮立て、下味を付ける。
③この下味を付けた筍は、筍フキ味噌和えやてんぷらでも使用する。
【材料】(2人分)
木の芽 8枚
田楽味噌 大さじ2
山椒の粉 適量
下味をつけた筍 250g程度
【作り方】
①木の芽はすり鉢で形がなくなるまでよくすり潰す。
②①に田楽味噌を加えて混ぜ、山椒の粉を加えてさらに混ぜ、木の芽味噌を作る。すり鉢がない場合は、フードプロセッサーを使用する。
③下味をつけた筍をサイコロ状に切り、②の木の芽味噌で和える。
神田メモ:和える際にお酢をちょこっとだけ入れると、木の芽味噌の緑が美しく発色するので試してみてください。
フキ味噌
フキ味噌とは、フキノトウで作る味噌のこと。フキの花茎がフキノトウで、雪の下から見えてくるフキノトウは春の到来を告げる山菜です。つぼみのうちが一番美味しい時期。独特の香りとほろ苦さはまさに春山の恵みを感じられます。
【材料】(2人分)
フキノトウ 2〜3個
田楽味噌 50g
揚げ油 適量
【作り方】
①フキノトウは外側の汚れたガクを取り、外葉を花びらのように広げる。
②揚げ油を180℃に熱し(フキノトウを入れて泡が出れば)、①のフキノトウを入れて2〜3分ほど焦げない程度に素揚げする。
③②のフキノトウをみじん切りにし、田楽味噌と和える。
神田メモ:このフキ味噌は、ご飯やお豆腐にも合うし、お酒のアテにもぴったりですよ。
筍フキ味噌田楽
上記のフキ味噌と下味を付けた筍で作る一品が、筍フキ味噌田楽です。焼き目を付けたフキ味噌が食欲をそそり、ちょっとしたおつまみにもぴったりですよ。
【材料】(2人分)
フキ味噌 適量
下味をつけた筍 適量
【作り方】
①下味を付けた筍を一口大に切り、その上にまんべんなくフキ味噌を塗る。
②①の筍をグリル(オーブン、またはトースターでも可)に入れ、焼き目が付くまで焼く。
神田メモ:カットした筍の表と裏に、浅く細かく包丁で切り目を付ける隠し包丁を行うと、より食べやすくなります。
山菜の天ぷら盛り合わせ
本日のメイン料理は、サックサクの衣でいただく山菜の天ぷら。これまでに使用した山菜の他に、ここではタラの芽も使用。タラの芽とは、タラの木の若芽で山菜の女王とも呼ばれており、天ぷらにすると味覚と香りが山菜料理の中でも随一といわれています。
【材料】(2人分)
タラの芽 4本
こごみ 4本
フキノトウ 4個
下味をつけた筍 先の部分を二分の一
小麦粉 適量
コーンスターチ 適量
水 適量
揚げ油 適量
【作り方】
①山菜の下拵えをする。
タラの芽は外側の固いガクを取り除く。
こごみは巻いている部分から10cm下の部分を切り落とす。
フキノトウは汚れたガクを取り、外葉を広げる。(フキ味噌参照)。
下味を付けた筍は一口大にカットする。
②ボウルに小麦粉を入れ、小麦粉9:コーンスターチ1、水を同量の割合で合わせたものを加えてさっくりと混ぜ、天ぷらの衣を作る。
③①の山菜を②のボウルに加えて衣と絡める。
④揚げ油を180℃(油の中に衣を入れてみて、半分くらいまで沈んだ後に浮いてくるぐらいの温度)に熱し、③の山菜を揚げる。(タラの芽、フキノトウ、こごみは2分ほど、筍は3分ほど)
神田メモ:天ぷらの衣には、ビールを入れるとサクサク度が増します。割合は、ビール3:水7くらい。試してみてください。
本日の山菜づくし膳はこちら
ハードルが高いと思われがちな山菜料理ですが、どれをとっても意外と簡単です。そして何より、春の旬な味わいを自宅で気軽に楽しめるのは何よりも贅沢。ぜひ、試してみてください!!
教えてくれたのはこの方!
神田貴夫(こうだ たかお)
かやぶきの里で知られる京都府南丹市美山地区の中でも、西の鯖街道沿いに佇む大正8年創業の老舗料理旅館「きぐすりや」の4代目となる若主人。美山の地で生まれ育ち、幼少時から山菜に慣れ親しむ。大学卒業後、和食の名店「たん熊 北店」で7年間修行した後、実家のきぐすりやを継ぎ、現在は美山の美味しい旬な素材を活かした料理と、ホッとくつろげるアットホームな空間で来られるお客様をおもてなししている。趣味はドローン操縦。美山の季節ごとの美しい風景を空撮するのが最近の楽しみ。
料理旅館きぐすりや
京都府南丹市美山町鶴ケ岡今安8−1
0771-76-0015
【お食事】※3日前までに電話予約
鹿ジビエ定食3,780円
季節の会席6,480円
山菜会席(春期限定)6,480円 その他多数
【宿泊】
大人1名一泊二食付15,120円〜(季節の会席)
その他、様々なお料理付きプランあり
http://www.kigusuriya.com