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“森の案内人”三浦豊さんと行く大人気の森ツアー 参加レポート!

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「森の案内人」と呼ばれる方がいることを、皆さんはご存知でしょうか?
この方の案内で散策する森ツアーがただいまキャンセル待ちも出るほど大人気…ということで、一体どのようなツアーなんだろうと興味が湧いたKYOTOSIDE編集部、実際に行って体験してきました!
日常生活がほんの少し、しかし、確実に変わる森ツアー…ブラタモリ気分でお楽しみください♪

森の案内人・三浦豊さんとは?

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まず、“森の案内人”三浦豊(みうらゆたか)さんとはどのような方なのでしょう。
京都市出身のネイチャーガイドで、1年を通じて京都のみならず全国各地で、森林や樹木観察会の「森ツアー」を主宰しています。三浦さんは元・庭師さんということで、樹木についての知識量がとても豊富。この森ツアー参加者の満足度は非常に高く、Facebookの登録者もなんと6万3000人以上(!)
驚異のフォロワー数を持つ三浦さんに、今回取材をお願いしたところ、快諾いただくことができました。

三浦さんと一緒にいざ!森ツアーへ!!

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取材当日、集合場所であるJR城陽駅で待ち合わせしたKYOTOSIDE取材チーム。どんな方なのかワクワクしながら待っていると、三浦さん登場!実際にお会いするのは本日が初めてでしたが、とっても穏やか&朗らかな三浦さんに一気に親近感が湧いたわたし達^^
本日はどうぞ宜しくお願いします!! 

森ツアーの魅力その①まちなかで見る植物の面白さ

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本日のツアーは、京都府城陽市。三浦さんがイチオシだという、城陽のまちなか&鴻ノ巣山を歩く森ツアーとなりました。コースは、JR城陽駅から地元の氏神神社・水度神社(みとじんじゃ)へ向かって参道を歩き、神社から鴻ノ巣山へ入ります。
ポイントは、駅前から参道までのまちなかにもいろいろな植物がいること。三浦さんが時折立ち止まりながらその場で説明してくださいます。

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まちなかで植物を見る時は、人が植えたものなのか、それとも自然に芽生えたものなのかを考えるととても面白い発見ができるそうです。
道路沿いでよく見かける人が植えたツツジの刈り込み、その間から出ているススキや笹(ささ)、葛(くず)、榎(えのき)といった自然に芽生えた植物たち。この自然に生えてきたものは、土の中で眠っていた種が発芽したものだったり、榎なんかは鳥がその実を食べて電線にとまって排泄をしたことで、土に落ちて芽吹いたものだそう。電線があったら、その下を見ると榎が生えているかも。

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コンクリートの側溝から生えているど根性な植物は、赤芽柏(あかめがしわ)。これも、とっても大きくなる木だそうです。アスファルトや道路の隙間から生えているものは、この子たちにとって環境が良いもの。やせ地でも問題なく成長するそうです。ブロックやアスファルトが敷かれることで水が蒸発せずにそのまま残るので、水がふんだんにある状態なんだとか。もちろんこれも自然に生えてきたものです。
三浦さんがこんな説明をしてくださいながら、散策は続きます。いつもなんとなく目には入っていたけどいつも素通りしていたまちの光景の中に、こんなにもたくさんの植物が存在するなんて…序盤から既にがっちり心掴まれたわたし達です。

森ツアーの魅力その②三浦さんの圧倒的な知識量

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駅から神社参道の始まりまで、距離にしてわずか350メートル。普通に歩けば5分の道のりをたっぷり30分かけていろいろな植物と出合いながら進みました。ここからは、水度神社の参道に入っていきます。

f:id:kyotoside_writer:20180524225145j:plain参道にはウッドデッキが敷かれ、ちょっとした新緑のトンネルになっていました。通常、参道は南から北へ向かって伸びていることが多いですが、水度神社の参道は西から東へ向かっています。これは、水度神社さんの御神体が山だったからだそうです。

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立派な楠(クスノキ)を発見しました。三浦さんによると、樹齢200歳前後。
そばには榎と赤芽柏もおりました。(これらは鳥の排泄や風、土の中で眠りから覚めることによって芽吹いたものですね!)
三浦さん曰く「木を愛でる時はいろんな方向や距離から愛でると良い」そうです。
いちばん魅力的な方向と距離で見ることを庭師は「木の顔」と言うそうで、人がよく眺めるところにその木の顔をもってきて、魅力的な光景をよく見られるように調節するのが庭師のお仕事だと言います。

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グネグネと伸びている木の枝ぶり、これは枝先で光を浴びて光合成しようとするのと同時に、枝を伸ばすことで身体のバランスを取ろうとしているのだそうです。だから「枝」は漢字で「木を支える」と書くんですよと教わり、納得しました。

どういう木が、どのような状態で生えているかということにはものすごい情報量があると三浦さんはおっしゃいます。我々と違って移動しないので、彼らはここで芽吹きここで死ぬ。この場所がどういう場所なのか、どういう状況に置かれているのか、過去はどうでこれからどう生きていくかとずっと考え、ベストな生き方(枝ぶり)を選んでいる…そんな木の合理性を聞くと、木も人と同じように生きているんだということを実感しました。

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「あの木は何ですか?」と聞くと、瞬時にその木の名前と特性、そしてその生え方を見てこの木がどういう生き方をしているのかを説明してくれる三浦さん。単に生えているだけでなく、過去にあったことや、どういう思いで人がこの木を植えたのかなどを読み取ることができ、それを話しながら歩いている姿には、木への愛情をものすごく感じました。

三浦さんのガイドの特徴は、その圧倒的な知識量。住んでいない場所でガイドすることも可能だそうで、依頼があれば全国に出かけると言います。いろんな場所に行くことで知識も増えて、更に比較もできることで樹木の魅力がより一層わかるようになったと言います。

森ツアーの魅力その③三浦さんの人柄

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参道を抜けて、階段を上り、水度神社へ到着しました!
鴻ノ巣山のふもとにある水度神社は、奈良時代からある由緒正しい神社で、この周辺一帯(昔の寺田村)の産土神だったと伝わります。
1448年(文安5年・室町時代)に造営され、本殿は檜皮葺で正面に千鳥破風をつけた建物で、重要文化財に指定されています。

現代でも、城陽市民の篤い信仰をあつめている地域密着の神社さんです。

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本日のメインとなる森「鴻ノ巣山(こうのすやま)」へは、この水度神社の境内から入っていきます。
神社の宮司さまに取材のご挨拶をさせていただいたところ、「三浦さんのおかげで、境内の木が名木に指定されましたよ」というお話であったり、参拝に来られた近所のおじいちゃんからも話しかけられてにこやかなおしゃべりタイムが始まったり、三浦さんはすっかり地元の方からも頼りにされている存在なのでした^^
三浦さんが城陽市に在住するようになって8年目。ガイドの仕事もちょうどそれくらいだそうです。

ここで、なぜ三浦さんは森の案内人になったのか、そのストーリーをご紹介します。

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三浦さんの生まれと育ちは、京都市の下鴨神社のすぐそば。が、当時は植物には一切興味がなく、23歳くらいまではひまわりと桜の名前くらいしか知らなかったそうです。
東京の大学へ進学し建築を学んでいた頃、「居心地が良い空間とはどういう空間なんだろう?」と考え、庭があることがすごく豊かなことだと思い、庭への興味が生まれ、庭師になろうと決意して京都に戻りました。

「良い庭」とはどのような庭なのか…考え続けてたどりついたのは、自然の芽吹きや草木のことをちゃんと考えて作っている庭だということ。そこから「自然を知りたい」と思い、庭師修業を中断し、自然の営みを知るため日本中を巡ることにしました(26歳の時のことだそうです)。

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それから5年間、日本中をまわって感じたことは「日本には、木がたくさん生えている」ということでした。森は森で自然のままですごく美しいし、神秘的。自然のままでも庭のように美しい調和が生まれてくるというのは素敵な営みだと感じたそうです。

森目線になると世界がガラリと変わり、三浦さんの人生が大きく変わりました。
元々は自然からインスピレーションを受けて、さまざまな木の性質や個性を読み取り良い庭を作れたら…と思っていましたが、森の魅力に気づき、森に通い続けたいなと思ったそうです。そうするためには森で仕事ができたらいいなと考え、5年間まわっている間に木の名前や性質をすべて覚えられたため、ガイドという仕事をすることを決意したそうです。

お話を伺っていてわたし達は、まっすぐで真摯、気づいたら動く行動力、自分が見つけた大切なものを心から大事にされている三浦さんの姿勢が、人々を惹きつけるのだろうなと感じました。

森ツアーの魅力その④ 森を見ることでその場所の歴史が分かる

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さぁ、いよいよ神社の奥、鴻ノ巣山へと入っていきます。
「この場所がどういう土地だったかを調べるには、その土地にある神社の森に行くのがいちばん」と言う三浦さん。その真意とは…?
入ってすぐに、巨木のシイノキの群生が目の前にあらわれました。

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見上げると網目模様に見えるシイノキが群生しているこの場所は、プチ原生林。
巨木のシイノキがたくさん生えており日照も遮られることから、ここで生える木はシイノキの赤ちゃんか榊(さかき)くらいで、ほかの木はあまり見られません。
古い森には神秘的な美しい空間が生まれ、これは人が手を加えない、神社の森の特徴と言えます。

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御神域ということで、殺生をせず草木が茂ってもそのままにしておくと、木は成長して落ち葉が溜まります。落ち葉が地面に堆積していくとやがて微生物やミミズ、昆虫などが大量にやってくるようになり、彼らがこの落ち葉を食べて排泄を繰り返すことで土が生まれます。落ち葉が堆積していくと、良い土が生まれるんですね。

シイノキは土が肥沃でないと生きていけません。シイノキが生えているということは落ち葉がたくさん積もっている、ということは落ち葉を落とす木が生え続けるここは、太古の昔からずっと変わらず森だったということがわかります。

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神社の森での歩みを進めていくと、パッと視界が開き、明るい空間が現れました。ここでは、1本1本細めの木が目立ちます。三浦さん曰く、ここから先は森が変わる、この先は人が生活をするために切ってきた森だと言います。いわゆる里山、雑木林とも呼ばれる場所ですね。細い木が茂っているのは、60年ほど前まで人にとってエネルギーの供給源は木であったので、よく木を切っていたためです。

草木が自然に芽吹き「盛り上がる」が語源の森自然の営み特定の種類を人間の特定の用途のために育てている林人の営みとも言われますが、どちらも尊く大切なもの。どちらがいいということはなく、いろんな人がいろんな視点で見て意見を言い合うことで、「多様性」が生まれると三浦さんは語ります。

森ツアーの魅力その⑤ ものごとの「見え方」が変わる

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鴻ノ巣山の散策途中にある東屋(トイレ付きなのも嬉しい)で、昼食がてら小休憩。
三浦さん、これまで行ってきた日本中の森では熊に遭遇したり遭難しかけたこともあるそうなのですが(!)森のマイナスな面ばかりに目を向けるのではなく、ここでしか見られない、感じられない素敵な気付きを大事にしているそうです。自然の厳しさも知っている上で、安心・安全な森ツアーをしてくださるのも人気のヒミツですね。

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昼食後、更に歩みを進めていく中で、足元で芽吹いている小さな小さな木の赤ちゃんたちを発見しました。これまで普通にハイキングしていても、なかなかこういう小さな存在に気づくこともなかったし、気付いたとしても草と見間違えていたり…自分たちの中でも、見え方が少しずつ変わっていっているのを実感しました。

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森のそこかしこで見られる倒木には、苔が多く付いています。木が枯れることはネガティブに捉えがちですが、自然の営みのひとつ。環境によって生える植物の種類が変わること遷移(せんい)と言います。

この写真の倒木にはどんぐりが落ちてそこから芽吹いていますが、根を倒木の下まで伸ばせるかどうかが、成長のポイント。倒木しかけの木だったら、分解者がまだ働いてないのでカチカチで根を伸ばせずなかなか生きていけません。どこで芽吹くのか、そして芽吹くタイミングが重要で、そこで木は淘汰されていきます。

森の中では、淘汰されて生き残り成長していく木は宝くじ級巨木にもなるとミラクルの域だそう。そのミラクルなものが、子孫を残すのです。

 

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たくさんのお話(ここに書ききれないくらい!)を聞いていると時間が経つのがあっと言う間。
気がつけば、鴻ノ巣山の山頂小屋に到着していました。本日の森ツアーのゴール地点です。

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展望台からは、大パノラマな城陽市の眺望が広がります。
鴻ノ巣山は120メートルに満たない小高い丘なので、お子さん連れでも比較的楽に登ることができます。
これまで述べてきたツアーの5つの魅力に加えて、季節のいろいろな植物を見たり、運動にもなる(ダイエット!)森ツアー。想像以上に深くて面白く、なにより楽しかったです!!

きっとあなたも何かが変わる…森の案内人による森ツアーへぜひ!!

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三浦さんの森ツアーには、1人用シートで寝転び、地面から木々を見上げる時間があります。何も考えずに、ただただ自然に身をゆだねる…せかせか生きることが多いこの時代、そんな時間はすごく幸せに思いました。

自然の枝ぶりを見ていると癒やされるのは、木のたくましさや生命力に触れて癒やされているのかも知れません。“森は生きている”とよく言いますがそのとおりで、森の生のエネルギーをもらっているのだと思います。

三浦さんはこう言います。
生きていると思ったら嬉しくなる、日常生活していると感じることはないのですが、意識を向けると嬉しくなりますよね。自分の仕事は、ちょっとした木々を見ることで生きているということを実感することです。

この素晴らしい体験を、あなたも是非、経験してみてください!!^^

■■INFORMATION■■

「森の案内人」三浦豊
http://www.niwatomori.com
これから開催される森ツアーの案内や、お問い合わせはホームページから。

水度神社
住所 京都府城陽市寺田水度坂89
参拝自由
電話 0774-53-9870
アクセス JR奈良線城陽駅から徒歩15分
水度神社|観光情報検索|京都“府”観光ガイド ~京都府観光連盟公式サイト~

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