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京丹後の自然を大満喫! 美術鑑賞と食事を楽しもう@和久傳ノ森

f:id:kyotoside_writer:20180824110009j:plain明治3年、京丹後市で料理旅館として創業した「和久傳」。現在では京都市内をはじめ東京などにも「おもたせ」の店舗を展開し、名料亭として知られています。その和久傳が、創業の地である京丹後市に「和久傳ノ森」を作ったのは2007年のこと。そして昨年6月、森の中の家 安野光雅館工房レストランwakuden MORI(モーリ)をオープンさせました。安野光雅さんが描く水彩画の世界を堪能した後、京丹後の自然を感じながら食事が楽しむことができる人気のスポットに。
夏の暑さも一息ついたことですし、ドライブをしながら訪れてみませんか?

 

f:id:kyotoside_writer:20180820170604j:plain和久傳ノ森があるのは京丹後市久美浜町。京都縦貫道の京丹後ICから久美浜湾に向かって車で約25分の所にたっています。木の門の向こうには樹々が生い茂り、外からは中がどんな風になっているのか分からないところもいい感じ。期待感が高まりますね~。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820174414j:plain奥に見えるのは工房レストランwakuden MORI。その奥には果樹園や畑もある

門をくぐり小径を行くと急に広々とした芝生の空間が現れました。今はこんなにも緑に囲まれている「和久傳ノ森」ですが、2007年当初は何もない更地だったのだそうです。その更地に植物生態学者の宮脇昭さんの指導で風土に合う56種類、3万本の樹々を地元の方々と共に植樹。約10年の月日をかけて立派な森ができあがりました。

安野光雅氏の絵画を展示する美術館

f:id:kyotoside_writer:20180820175120j:plainさて、まず訪れたいのが右手に見える 森の中の家 安野光雅館。安野光雅さんといえば42歳の時に『ふしぎなえ』でデビューすると同時に一躍、世界的人気になった画家であり絵本作家。著書に『繪本平家物語』『天動説の絵本』『旅の絵本』など多数ありますが、安野光雅さんの美術館があるのは、こちらと生まれ故郷の島根県津和野町だけなのだとか。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820170914j:plain美術館のパンフレット。飾りたくなるほどステキ

そもそも、どうして名料亭である和久傳が安野光雅さんの美術館を開くことになったのでしょうか。副館長の伴とし子さんに伺うと、和久傳の大女将・桑村綾さんは元々、安野光雅さんの水彩画の世界が好きだったそうで、和久傳の発祥の地である「京丹後にご恩返しをしたい」という想いから、安野光雅さんの素晴らしい絵を見てほしい、小さな子供たちに本物を見てほしいと美術館を建てることにしたのだそうです。

コンクリートの廻廊を進んだ先に現れる安藤忠雄氏設計の美術館

f:id:kyotoside_writer:20180820171003j:plain美術館へ入るには、ショートカットをして芝生の庭から入ることもできますが、この折れ曲がった廻廊を通って行くのが正しい入り方。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820172006j:plain設計は、こちらも世界的な建築家・安藤忠雄氏。大阪市住吉区に建てた「住吉の長屋」や大阪府茨木市の「光の教会 」をご存じの方も多いのでは。また、京都では木屋町三条の「TIME’S」ビルや北山の「京都府立陶板名画の庭」「大山崎町の大山崎山荘美術館」などを手掛けています。そんな安藤忠雄氏が設計した建物として、安藤忠雄建築ファンも多く訪れているそうです。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820172029j:plain廻廊の壁には所々にスリットが入れられ、森の景色が見えたり、だんだん美術館に近づいていく様子が分かり、徐々に期待感が高まっていきます。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820182719j:plain安野光雅さんの水彩画を展示するのにぴったり。森に抱かれてひっそりとたたずむ

廻廊を抜けると、まっすぐな道が出現。なんだか胸を張って歩きたくなるような晴れがましい一本道です。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820180912j:plainところで安藤忠雄建築といえばコンクリートやガラスなど、近代的な素材と幾何学的な構造が特徴。確かにこのフォルムは紛れもなく安藤忠雄建築ですが、外壁はコンクリートではなく、黒い杉板張りなのが興味深いところ。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820181022j:plain美術館の入り口には安野光雅さんの直筆プレートが掛けられている

そう思って玄関を入ると、安野光雅さんと安藤忠雄さん大女将の桑村綾さんとの数回に及ぶ打ち合わせの風景がパネルで展示してありました。これを拝見すると随分、意見をぶつけあった様子がわかります。ことに設計に際しては安野光雅さんの意見も沢山、入っているそうで、まさに巨匠同士がコラボレートした美術館なんですね。 

木と緑を感じる、森の中の美術館

f:id:kyotoside_writer:20180820181106j:plain展示室は木を基調とし、繊細で柔らかなタッチが特徴の安野光雅さんの水彩画が映える、あたたかくも清々しい空間。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820181616j:plain2巨匠の直筆を展示。それぞれのタッチから、お二人のあたたかい人柄が伝わってくる

最初に展示されているのが安藤忠雄さんのドローイングと、安野光雅さんのメッセージ。安野光雅さんの「できるだけ『若いとき』に絵をかいたり 本を読んだりして下さい」の文章にグッときていると、副館長の伴さんが「安野先生は今年、92歳。それを思いますと、みんな若いことになるので、今からでも充分、遅くないですよ(笑)」とおっしゃって下さって、ちょっと安心。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820181742j:plain美術館は2階建て。天井の安野忠雄建築らしいアンシンメトリーな形が印象的

f:id:kyotoside_writer:20180820181744j:plain館内の所々には細い窓が設けられ、絵画を楽しみながら通りすがりに緑が眺められるのがすてき。また、壁に作られた細かなスリットは、絵を吊るすワイヤーを見えにくくする効果もあるのだとか。確かに余計なものが目に入らず自然に絵に集中できます。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820181833j:plain作品は3か月ごとに展示替えされ、今までの作品に加え、安野先生の新作も展示されるようですよ。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820181905j:plain『小さな家のローラ』より、クマとハチミツのシーン

現在は9月3日(月)まで、『夏の日のローラ』展を開催。かつて大ヒットしたアメリカのテレビドラマ・シリーズ『大草原の小さな家』の原作「小さな家のローラ」より夏の情景を中心に展示しています。登場人物が生き生きと描かれ、今にも動き出しそう。(次回の展示についてはページの最後をご覧ください)

京丹後で採れた食材を使った料理とスイーツを楽しむ

f:id:kyotoside_writer:20180820181955j:plainステキな絵を鑑賞したら、お腹がすいてきました。そんな時、すぐ隣にレストランがあるのもこちらの魅力。続いては工房レストラン wakuden MORIへまいりましょう。
レストラン前にある、この広い芝生は子供が走り回ってもOKですし、ちゃんとリードを付けていたらペットも可だそうですよ。家族みんなで楽しめるのもいいですね。

 

f:id:kyotoside_writer:20180822114908j:plain

1工房レストラン wakuden MORI。これからの季節は森に面したテラス席もいい。2玄関を入ったカウンター後ろには安野光雅さんの『もりのえほん』からとった絵が。中に動物が隠れているので見つけて 3ショップでは美術館のオリジナルグッズと紫野和久傳の「おもたせ」を販売 4MORIへの入り口

レストランでは丹後の食材や和久傳ノ森で採れた食材を使った料理が味わえます。ところで店名のMORI(モーリ)。イタリア語で桑のことをMORIというのですって。そういえば丹後は丹後ちりめんが有名。その絹を作るお蚕さんが食べる「桑」と、和久傳ノ森のシンボルツリー「桑」を大切にと名付けられたそうです。ロマンチックだなあ。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820182118j:plainそして和久傳というと、ちょっと敷居が高くて…という方も大丈夫です。こちらではカジュアルな「とろろとれんこんうどん」「丹後の野菜のかきあげ丼」から、14時からは、出汁茶漬けなど「むしやしない」メニューもいただけます。もちろんスイーツもありますよ。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820182146j:plainせっかくだからプチ贅沢気分を味わいたい~という方には、より丹後の食材が楽しめる「MORI お肉のセット」3000円がおすすめ(内容と値段は季節で変わります)。
写真は京都牛のローストビーフ。付け合わせの野菜も季節で変わり、この日はシシトウと巨峰の天ぷら。食べる前は「エッ、巨峰?」と思ったのですが、巨峰の甘味がお肉とピッタリで、驚き&忘れられない美味しさです。こちらに丹後野菜の盛り合わせ、本日はとうもろこしのすり流し、もろみ味噌、オリジナルのちりめんじゃこ、和久傳で農薬を使わずに育てたコシヒカリの釜炊きご飯、漬物、味噌汁がつきます。

 

f:id:kyotoside_writer:20180820182213j:plainケーキの下に和久傳ノ森で採れた桑の葉を敷いて

そして食後のデザートにはシフォンケーキはいかがでしょう。こちらは桑の葉パウダーを練り込んだシフォンケーキ。桑の葉というと、ちょっと苦いのでは?? と思うかもしれませんが、抹茶のような優しいほろ苦さで、同じく久美浜にある「ミルク工房そら」さんのアイスクリームと相性ばつぐん。そして、何より弾力があって、ふわっふわ。おすすめです!

ここでしか買えない安野光雅グッズ&紫野和久傳の「おもたせ」に注目

f:id:kyotoside_writer:20180820182242j:plain1和久傳オリジナルの安野光雅さんの絵本「絵あそび」 2『小さな家のローラ』よりトートバッグ、和の色名が付けられた色えんぴつ 3安野光雅さんのイラストが描かれた桑のお茶は、ペットボトルを取っておきたくなりそうなかわいさ。ちりめんじゃこ各種。安野光雅さんのイラストパッケージが買えるのはココだけ

美しい絵を見て、美味しいご飯とスイーツをいただいた後はショッピング。ここでしか買えない安野光雅グッズや紫野和久傳の「おもたせ」がステキすぎて、自分用と友人、家族用にとあれこれ買って帰りたくなっちゃいました。

 

食後は芝生のベンチに座り鳥のさえずりや樹々の揺れる音を楽しんだり、風がほほをかすめるのを感じたりと自然を満喫。すっかり癒された一日になりました。ぜひ、でかけてみてくださいね。

■■次回展覧会予告■■
『赤毛のアン 原画展』~新作『赤毛のアン』とロングセラー『旅の絵本Ⅳ』を同時に展示します。
2018年9月5日(水)~12月3日(月)※終了しました

【Information】
和久傳ノ森
京都府京丹後市久美浜町谷764
休 火曜日(祝の場合は営業、翌日休)、12月29日~1月1日 

森の中の家 安野光雅館
TEL 0772-82-9901
9:30~17:00(入館は16:30)
一般1000円 中高校生       600円  小学生400円

工房レストランwakuden MORI(モーリ)
TEL 0772-84-9898
10:00~18:00(ラストオーダー17:30)

 

 

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