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【京都の学校給食】自分たちが育てた「京たけのこ」を炊き込みご飯&お寿司で味わう~長岡京市編~

京都府の学校給食シリーズ第2弾は「たけのこ給食」。学校内の竹林(たけのこ畑)で栽培したたけのこを給食で食べる珍しい小学校があるという情報をキャッチ!「たけのこ」に込められた想いとは?早速、長岡京市立神足(こうたり)小学校を取材してきました。

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神足小学校のある「長岡京市」ってどんなまち?

長岡京市は京都府南西部の「竹の里・乙訓エリア」に位置します。市名はかつて都がおかれた「長岡京」にちなんで改名し、今年で50年になります。

※長岡京は「平城京」から、「平安京」に遷るまでの10年間存在した大きな都。現在の長岡京市、向日市、大山崎町、京都市の一部にかけて存在しました

長岡京市のランドマーク長岡天満宮

人口は約8万人。京都や大阪の都心部に近いながらも、豊かな自然と奥深い歴史が残るまち、それが長岡京市です。

※京都市(四条河原町駅・京都駅)へ電車で約10~15分、大阪(梅田)へ約30分とアクセス抜群

▶長岡京市の魅力をギュッとまとめた記事はこちら

【長岡京市観光】SNS映え観光スポットから長岡京グルメまで一挙紹介!

たけのこの産地としても知られ、戦国武将・明智光秀の娘・ガラシャとも縁深い長岡京市。これまでKYOTOSIDEでご紹介してきた、編集部厳選の長岡京市おすすめスポットをまとめてみました!

特産物『京たけのこ』は長岡京市民の誇り

鎌倉時代に中国から、食用たけのこである「孟宗竹」がここ長岡京市に伝来しました。以来、京の食文化として根付き、現在は「京たけのこ」として京のブランド産品に認定、東京や京都などの有名料亭でも使用されているほど。

京たけのこは、竹林に自生するたけのことは全く別物。伝統的な土作りから丹精込めて栽培される「たけのこ畑」は、庭園と見紛うほどに美しく整備されています。
別名「白子(しろこ)たけのこ」と呼ばれるほどの色の白さや、刺身にできるほどのやわらかさが自慢で、甘みのある独特の風味を併せ持つ最高級品なんですよ。

▶「京たけのこ」の栽培方法について詳しくはこちら↓
https://www.pref.kyoto.jp/kyotootokuni-f/1212129884572.html

たけのこ畑を校内に……きっかけは?

たけのこ給食が始まったきっかけは約15年前のこと。
「長岡京市が誇る特産物『京たけのこ』を知ってほしい、より身近に感じてほしいといった地域の方々の想いによって、学校敷地内の余った土地を有効活用して竹林(たけのこ畑)を作ることになったと聞いています。竹林は神足小学校の卒業生を中心とした地域の農家さんたち手作りなんですよ」
そう教えてくれたのは、神足小学校の校長・大秦秀樹先生。

200平米におよぶ神足小の竹林(たけのこ畑)

地域の方々の繋がりで、土や地下茎(竹の根っこ)をたけのこ農家さんから分けてもらったのがはじまり。それが今や立派な竹林(たけのこ畑)に成長し、毎年美味しいたけのこを収穫することができます!

「神足小は来年2023年で創立150周年を迎えます。今では長岡京市には小学校が10校ありますが、明治時代に小学校が誕生してから100年間くらいは2校(長法寺小・神足小)しかありませんでした。校区が広かったからか、当校に愛着を持っておられる卒業生の方が多いと感じています。竹林に限らず、畑や水田、グリーンカーテン、中庭、ビオトープなどの環境整備やメンテナンスなど、見栄えが良く安全なように卒業生をはじめ地域の方々が率先して作業をしてくださるんですよ。たくさんの方々が神足小をとても大切に思ってくださるので、常々、地域と共にある学校だと感じています」(大秦校長)

中庭のビオトープは癒しの空間

掘るだけじゃない、神足小たけのこ栽培の達成感

神足小学校では地域の方々が1年を通してたけのこ栽培をサポートします。京たけのこはなんといってもその“柔らかさ”が自慢。そのため手間暇かかり根気のいる作業が多く、中でも一番大変な作業が「土入れ」。

「土入れ」とは藁と土を交互に重ねて、畑一面をふかふかの布団を掛けているかのような状態にすること。こうすることで、地下茎に水分、空気、栄養がほどよく行き渡り、ストレスをかけずにタケノコの芽吹きを促すことができるそうです。

全校児童の目につくよう昇降口に学校内の竹林で採れたたけのこを展示

毎年12月に5年生が土入れをし、6年生になった4月下旬にたけのこ掘りを体験。地域の方の協力の下、西山の農家さんから土を分けてもらいます。藁は学校で稲刈りした後のものを利用します。(神足小には竹林に加えて水田も。市の中心地とは思えませんね~。)

「土入れを15年間、毎年することでこんなにも地面が高くなった」
まるで地層のようになった断面を眺めながら、神足小を60年前に卒業したという地域の方が竹林の歴史を嬉しそうに話してくださいます。

今年も地域の方々16名が応援にかけつけてくれました。6年生は、道具の説明やたけのこの生態の話を聞きながら、たけのこを次々に掘り起こしていきます。

土の中のたけのこを傷つけないようにまずはスコップでまわりを掘る

竹の地下茎を切る専用のクワは「ホリ」と呼ぶ。この地ならではの独特の形をしている

ホリで地下茎をブチっと切り、ホリの先を突き上げるとたけのこが地中から飛び出す

土入れからたけのこ掘りまで体験した6年生からは「とても達成感があるので嬉しかった、自分たちで育てたたけのこを食べるのが楽しみ」など感想コメントいただきました♪ 
掘り起こすたび、あちこちで歓声が上がります!

皮をむきやすいように包丁で穂先を落とす

たくさん収穫できたようにも見えましたが、地域の方々によると今年は残念ながら不作の年ということで、足りない分はたけのこ農家さんからいただくことに。なんと全部で約100kg(皮付で)にもなりました。
うち約30㎏のたけのこを児童475人(+職員)の「たけのこご飯」に調理します。

3年生はたけのこの皮むきに参戦

たけのこは時間が経つとすぐにアクが出て硬くなることから、掘った当日に3年生が皮をむき、そのまますぐに調理員が根を落とし洗浄。

その後、1時間ほど大鍋で茹でて、水につけて冷まして冷蔵庫で保管します。

どこを食べてもたけのこ!豪華すぎる「たけのこご飯」

いよいよ、たけのこ給食とご対面です!栄養職員の永田早希先生にこだわりポイントをおうかがいしました。

「神足小の『たけのこご飯』は細く刻んだたけのこをたくさん入れているので、どこを食べてもたけのこが味わえるんですよ。甘みのある独特の風味を生かすために、塩分は控えめ。濃いお出汁をとって、しっかりと浸漬してお出汁の味がお米に浸みるように心がけています」

これまでいろんなたけのこご飯に出合ってきましたが、こんなにもたくさんたけのこが入っているものは初めて!贅沢です♡舌触り滑らかなたけのこご飯。口に運ぶたびにふんわりと甘い香りが鼻から抜けていきます。絶品でした!!

ちらし寿司をアレンジした華やかな「たけのこ寿司」も春の定番メニュー。甘辛く炊いたたけのこがアクセントに

人生の出発点にしてほしい。『たけのこ給食』に込められた想い

「竹林の手入れから、たけのこ掘り、たけのこご飯をいただく、この一連の活動の中で児童たちにも地域の人たちにもつながりを感じてもらいたい。愛校心や地域愛はとても大切。誇りを持つということももちろん大事なのですが、私は愛校心や地域愛を人生の出発点にしてもらえたらと願っています。このようなつながりの上に次のステップがあり、それぞれの人生が形成されていくものと考えています。校内の中庭や竹林、田んぼなどいずれも小さいものかもしれませんが、地域の方々と一緒に作業した思い出は児童にとってこれからの人生の土台になってくれるものと信じています。『たけのこ給食』はまさにこの協働作業の産物なんです」(大秦校長)

次の世代に繋げるために、今できること「創立150周年企画展」

2023年で神足小は創立150周年。100周年記念は過去に行ったため、企画展という形でその後の50年の神足小や長岡京市の歩みを映像や写真で振り返ります。卒業生が遠くからも来やすいよう気候の良い運動会の季節に開催する予定とのこと。
「児童だけでなく地域の方々にもぜひ来ていただきたいです。たけのこ栽培のような地域の方々との協働作業を、次の世代に繋いでいくきっかけになることを願っています」と最後に大秦校長は語ってくださいました。

取材の中で、手伝ってくれている地域の方々が生き生きとされているのが印象的でした。こんなふうに自然と母校で集えるなんて素敵なことだと思います。これからもこの活動が続いていきますように。

▶京都の給食シリーズ第1弾、舟屋の里・伊根町にある伊根小の記事はこちら👇

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